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養育費の相場と決定方法について

養育費の相場と決定方法について

 

1 養育費とは

養育費とは、未成熟子の生活に要する費用(衣食住、教育、医療に要する費用)をいいます。

未成熟子とは20歳未満の子を指すのが原則です。

ただし、仕事を持ち経済的に自立している者は20歳未満でも未成熟子ではなく養育費の支払義務は生じません。
対して、20歳以上でも病気のため仕事に就けない者は未成熟子として養育費の支払義務が生じることがあります。

離婚が成立した後、親権者となった親は親権者にならなかった親に対して養育費の分担を請求する権利があります。

 

2 養育費と婚姻費用の違い

婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要となる費用のことで、夫又は妻自身の生活費のほか、子の養育費を含みます。

夫婦は、互いに婚姻費用を分担する義務を負っています。
そのため、たとえば夫と別居して未成年の子を育てている妻は、夫に対して婚姻費用(妻の生活費と子の養育費)の分担を請求する権利があります。

婚姻費用は、婚姻中に問題となる点、子の養育費のほかに妻(又は夫)自身の生活費も含まれる点で養育費と異なります。

養育費と婚姻費用の違い

 

3 養育費の支払期間

養育費の支払時期は、権利者が養育費の請求を行ったときから子どもが成人に達するまでとされるのが原則です。

離婚と同時に養育費の支払が取り決められる場合、通常は離婚が成立した月が養育費の支払始期になります。

離婚の際に養育費について取り決めを行わず、後日、調停を申し立てて養育費の支払請求をした場合は、調停の申立時が支払始期となることが通常です。

なお、養育費は通常1か月単位で支払います。

 

4 養育費の相場(標準的な金額)

これから離婚をしようと考えている人は、養育費の相場が気になるところだと思います。

子どもの親権者になる親は、子どもの将来のためにも養育費が相場より低くなることは避けたいでしょう。
また、養育費を支払うことになる親からすれば、相場より不当に高い養育費を支払うのは不本意かもしれません。
そこで、きちんとした取り決めをするためには、養育費の相場、すなわち養育費の適正金額の目安を事前に知っておくことが必要です。

しかし、万人に共通の養育費の相場は存在しません。
なぜならば、親の子に対する扶養義務は子に親と同等の生活をさせる義務と考えられているので、親の収入が多ければ養育費の金額も高くなり親の収入が少なければ養育費の金額も低くなるからです。
また、養育費の相場は子の人数や年齢に応じて変化します。

そこで、家庭裁判所では、類型ごとに作成された養育費の算定表に基づいて養育費の相場を決定しています。
この養育費の算定表は裁判官の研究成果として平成15年に公表されました。
以後、調停、審判、訴訟の場ではこの算定表に基づいて養育費の金額が決定されています。

以上のことからすれば、養育費の相場とは、「養育費の算定表から求められる金額」と考えてよいでしょう。
ただし、あくまで算定表から求められる金額は1つの相場(目安)に過ぎないので、特別な事情があれば、それも考慮して養育費の金額を決定すべきでしょう。

 

5 養育費の算定表の使い方

養育費の算定表は、裁判所のウェブサイトに公開されています。
正式には養育費・婚姻費用算定表といい、養育費のほか婚姻費用の相場もこの表から算定できるようになっています。

算定表の使い方は次のとおりです。

① 表を正しく選択する

表は、1から19まであります。

請求する費用の種類(養育費か婚姻費用か)、子どもの人数(1人か2人か3人か)、子どもの年齢(0歳~14歳か15歳~19歳か)によって、正しい表を選びます。

② 父と母の直近の年収を確定する

直近の下記資料等を用いて父と母の収入を確定します。

・給与所得者の場合
源泉徴収票の支払金額
又は
課税証明書の給与収入金額

・自営業者の場合
確定申告書の課税される所得金額
ただし、税法上控除されるもののうち現実には支出されていない費用(青色申告特別控除など)を加算する必要がある。

③ 父と母の年収を算定表上の義務者・権利者の年収に当てはめる

養育費を支払う親を義務者、養育費の支払いを受ける親を権利者といいます。

たとえば、父が養育費を支払う場合、父の前年度の源泉徴収票の支払金額が510万円であったとすると、算定表では550万円と525万円の間に位置することになるので、より近い525万円が義務者の年収となります。
母(権利者)の算定表上の年収も同じように求めます。

④ 算定表の軸の交差点を求める

義務者と権利者の年収が確定したら、確定した年収を起点にして、義務者は右に、権利者は上に軸を伸ばしてそれぞれが交差する点を求めます。
その交差する点が、どの金額のゾーンに含まれているか確認します。

たとえば、交差する点が4~6万円のゾーンに含まれていれば、養育費の相場は1か月あたり4~6万円となります。

 

6 養育費の計算式

以下のようなケースは、どの算定表にも当てはまらないので算定表を用いて養育費の相場を求めることができません。

・ 子どもが4人以上いる場合
・ 父と母が子どもを分けて養育している場合
・ 義務者が再婚した場合

このような場合は、算定表の元になっている算定式を利用して養育費の相場を求めることになります。

 

7 養育費の取り決め方

養育費を取り決める方法としては、次のような方法があります。

それぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。
状況に応じて適切な方法を選択するのがよいでしょう。

方法 メリット デメリット
口約束 時間、費用の節約 ・履行されない場合、契約履行訴訟の提起が必要
・合意の立証が困難
文書による合意 ・時間、費用の節約
・口約束に比べ合意の存在を立証しやすい
履行されない場合、契約履行訴訟の提起が必要。
公正証書の作成 ・履行されない場合、強制執行が可能
・裁判所の手続を利用するより時間を節約できる
履行されない場合、履行勧告・履行命令の制度を利用できない
裁判所の手続
(調停、審判、判決、和解)
履行されない場合、履行勧告・履行命令・強制執行が可能 時間・費用を要する

 

8 養育費の変更(増額・変更)

一度養育費の金額を定めたとしても、その後、事情の変更があった場合、養育費を増額したり減額したりすることができます。

事情の変更としては、次のような場合が挙げられます。

・ 義務者の破産、失職
・ 父母の再婚
・ 子の進学

 

9 養育費を払ってくれない場合の取立て

養育費について取り決めをしたが相手が支払ってくれない場合、養育費を取り立てる手段としては次のものが挙げられます。

取立手段 メリット デメリット
交渉 ・時間、費用の節約
・義務者の財産の所在が不明でも可
・強制的な取立不可
履行勧告・命令 ・時間、費用の節約
・義務者の財産の所在が不明でも可
・家庭裁判所の関与による心理効果
・強制的な取立不可
強制執行(間接) ・間接強制金(例:遅滞1日につき5000円)の支払命令による心理効果
・直接強制に向かない場合に有効
・時間、費用を要する
・養育費自体の回収は強制できない
強制執行(直接) ・強制的に養育費の支払いを受けられる(給与差押の場合、1回の差押えで継続的に回収可) ・時間、費用を要する
・差押対象財産の所在や義務者の勤務先が分からないと不可
・給与差押による義務者失職のリスク(反射的に回収困難となる)

 

10 養育費と面会交流の関係

養育費の支払義務は、面会交流の有無によって直接左右されることはありません。
したがって、面会交流が実施されていないからといって、当然には養育費の支払いを拒否できることにはなりません。

面会交流は子の心身に大きな影響を与えることがあるので子の状態を第1に考えて行う必要があります。

ただし、面会交流を行うことに特段の支障がなければ、養育費の支払いと面会交流の双方が継続的に行われるのが理想的でしょう。

 

11 養育費と税金

① 養育費と贈与税

養育費の支払いに対しては贈与税は課税されないのが原則です。

したがって、通常、養育費の支払いを受けた者は贈与税を支払う必要がありません。

ただし、名目が養育費(生活費や教育費)だったとしても、不動産の購入資金として支払われたような場合には贈与税が課税されます。
また、養育費が一括で支払われた場合には、贈与税が課税されることがあります。

② 養育費と扶養控除

養育費の支払いを行っている親は、子どもが16歳以上であれば扶養控除を受けられる場合があります。

子どもが16歳以上19歳未満の場合は38万円、19歳以上23歳未満の場合は63万円の控除を受けることができます。

ただし、扶養控除を受けられるのは、父母の一方に限られます。
たとえば、子を養育している母が扶養控除を受ける場合、養育費を支払っている父は扶養控除を受けることができません。

 

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